Novel

□美女と宝石と7
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ゴッ


鈍い音が部屋に響いた。


「ぐあぁっ!?」


ロンが鼻を抑えて転がった。近付いてきたロンの顔に五右ェ門が頭突きをかましたのだ。

「拙者を辱めるのもいい加減にしろ!!拙者は男だっ!!」

火事場の馬鹿力だったらしい。叫ぶと五右ェ門は力が抜け、パタリと倒れた。

次元以外のその部屋の中の者達には目の前に居るのが男だということはあまりにも予想外だったらしく、呆然とした空気が部屋を支配する。


「…な…な…!!」

信じられないとばかりにロンは震えながら五右ェ門を指差した。
ならば自分は男を口説いていたというのか。


「ははっ!」

おかしくて思わず次元は笑いがこぼれた。マヌケに呆けている周りの男達を蹴飛ばす。

「きさまっ…!!」

我に返ったグレンが銃を突きつけようとするが、次元の方が一瞬早かった。すかさず伸ばした腕を上から蹴り上げられ、銃は床に落ちた。すかさず次元はグレンの顔に一発かまし、よろけたグレンの腰からマグナムを取り返す。
グレンはすぐに銃を拾い、顔を上げた。

「形勢逆転ってやつだな」

眉間にマグナムが突きつけられていた。マグナムの先には次元が笑みを浮かべている。
グレンはおとなしく持っていた銃を再び床に放った。

「さーて。ついでに『オーロラのしずく』をここに出して貰おうか」

銃を突きつけたまま次元は促した。
後はダイヤを頂いてさっさと逃げるに限る。
チラと五右ェ門の方を見ると未だにうつ伏せのままだった。ロンはよほど鼻を強く打たれらしく、手で抑えて呻いていた。

「立てるか?五右ェ門」

「…うむ、大丈夫だ」

声をかけると五右ェ門はヨロヨロと立ち上がり、次元の横に歩いた。途中よろけたので、次元が支えると五右ェ門は次元の手を払いのけた。

「大丈夫だから、拙者に触るな」

あーそうですか。
プライドが高いと言っても、肩を貸すくらい気にする事ないだろうに。


グレンがボタンを押す。
すると燦然と光り輝く大きいダイヤが床から姿を表した。その大きさと輝きに次元はヒューっと口笛を鳴らす。

「こいつはすげぇな…」

次元はダイヤに手を伸ばした。


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