Novel
□美女と宝石と6
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体がひどく重く感じる。
さらに頭に霧がかかったようにはっきりとしない。
何をしていたのだったか…。
五右ェ門は重たいまぶたを気だるげに開いた。
視界に入ったのは見覚えのあるベットの天井。
あぁ…確か社長のロンの部屋に行って……ダイヤを見て………
そこまで思い出して五右ェ門は一気に目が覚めた。立ち上がろうと腕を動かそうとしたが、後ろ手に拘束されてるらしく叶わなかった。それだけでなく目が覚めたにも関わらず依然、体はだるく感じられた。
そうだ、罠だとルパンに知らせているところがバレて捕まったのだ。
「おはようございます、さつきさん」
声をかけられて重たい頭を向けると、ロンがドアを開けて部屋に入ってきていた。五右ェ門はギリッと奥歯を噛み締めた。
なぜ体が動かないのか。
「うまく動けないでしょう?少し強めのクスリを打たせましたから」
ロンの口元が厭らしく歪む。
「…まさか、あなたが私のダイヤを狙うコソ泥だったとはね…」
ロンはベットまで近づいて横たわっている五右ェ門の横に腰掛けた。そっと五右ェ門の頬に手を這わせる。
「……っ…」
ビクリと五右ェ門の体が反応した。
「非常に残念ですよ…」
そのままロンの手は五右ェ門の首筋の髪をすき始めた。五右ェ門は必死に出そうになる声を抑えた。自分の反応が信じられない。
「……っ…き…さま…何をした…!!」
震えながらも鋭い目つきでロンを睨みながら言ったが、涙目のそれでは迫力は無かった。。
髪を触る手を止めないままロンは答えた。
「グレンが打ったクスリは私が新しく開発したクスリでしてね。少しの量でとても気持ちよくなるんですよ」
ロンは今まで撫でていた髪をつかみムリヤリ五右ェ門の顔を上げさせた。痛みに五右ェ門の顔が歪む。
「ただし、一回依存してしまうと体がボロボロになっても止められませんけどね」
わざと耳元でささやくように言うと、五右ェ門の体が再びビクリと大きく反応した。
「さて……そろそろお仲間が着いたようですよ」
つかんでいた髪を放す。ドサリと五右ェ門はベットに沈んだ。
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