Novel

□hand in hand
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五右ェ門に思いを告げて早くも1ヶ月。
次元は悩んでいた。



「これなんか良いと思わんか、次元」

和風なタンスを指差して五右ェ門は嬉しそうな顔を次元に向ける。そんな顔をされるとものすごくキュンとしてしまうワケで…。

理性も何もすっ飛んで次元はごえもんに抱きつこうとした。
もちろん五右ェ門がこんな公衆の面前でそんなことを許すはずもなく。
次元は腹に一発重たいのをくらい、床で悶絶した。五右ェ門は何事もなかったかのようにあっちのも良いなとスタスタ言ってしまった。



「新しいアジトを買ったから家具を揃えておいてヨ」

朝起きて(と言っても午前11時頃)コーヒーを入れていた次元にルパンがそう声をかけた。
何でオレが…と言いかけるとルパンは次元の肩に手を回して顔を近づけた。

「良いじゃないの。まだデートもろくにしてないんでショ?買い物というデートでもしていらっしゃいな!」

そうなのだ。
告白してから1ヶ月も経とうというのに次元と五右ェ門はキスはおろか、未だに手も繋いだことがない。次元がだいぶヘタレているというのもあるが、五右ェ門が超アナクロ人間であるというのが一番の原因だろう。
告白した初日に次元が五右ェ門の寝室に夜這いしに行ったら半殺しにされた。次元が恋人同士なんだからいいじゃねぇかと言えば、五右ェ門はまだ付き合い始めなのにそんなハレンチなことするか!と昭和初期の人間なようなことを言う。つまり時間をかけて順序だててやらなければいけないのだ。これまで次元はかなりの我慢をしてきた。

「オレは研究の続きをしたいから二人で一日ごゆっくり。ハイ、これお小遣い」

ルパンは次元の手に札束をポンと手渡した。
キスぐらいはしてこいよとウィンクするルパンに次元は今までないくらい感謝した。


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