Novel
□美女と宝石と3
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階段から行くといっても、もちろん階段にも監視カメラは設置してある。なので、ルパンが監視カメラの映像をパソコンに映し、次元がルパンの指示に従って最上階に行く作戦となった。作戦というにはあまりにも不確定要素が多かったが、仕方ない。今回はあまりにも準備が少な過ぎるのだ。
「そんじゃ、オレが監視カメラの死角を逐一言ってくからよ。」
「あいよ。」
次元は返事をすると、愛用のマグナムを腰に忍ばせた。
ルパンがカタカタとキーボードをいじると、画面に階段の映像が出てきた。
「オマエ何笑ってんだ?」
先程からルパンは笑いをこらえているようだった。肩が震えている。次元は怪訝な顔をルパンに向けた。
「や、だっておっかしいんだって!次元も聞いてみ?」
笑いをこらえながらルパンは耳からヘッドフォンをはずし、次元の耳に当てた。先程の社長のロンの声が聞こえてきた。
彼は自分がいかにスゴイか、延々と五右ェ門に語っているようだった。ときおり、五右ェ門のはぁという相打ちが入る。するとロンは感激したように更に熱く語り始めるのだった。
「…こりゃあ、五右ェ門も大変だナ」
五右ェ門が無表情で話を聞いてる様子が頭に浮かんで、次元は苦笑した。
「そういやぁ、作戦中は五右ェ門の状態が分かんなくなるんじゃないのか?」
無線は今、部屋に1つしかない。
ルパンが次元に指示を出すのにその無線が使われる。当然、五右ェ門の状態はおろか、指示も出せない。
「んー…何とかなるとは思うけど…。一応、五右ェ門には何かあったら連絡入れるように言ってあるし。」
そう言って、ルパンはカバンからランプのついた機械を取り出した。
「五右ェ門に渡してあるスイッチを押すと、このランプが光るってわけよ」
「…なるほどね」
短くなったタバコを携帯灰皿に入れ、次元はドアへ手をかけた。
「ドジるなよ?」
ルパンはニヤリと笑って声をかけた。
それに次元は返事をせずに手だけをふって答えた。
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