Novel

□美女と宝石と3
1ページ/5ページ



次元がボーイに渡されたカギで指定された部屋へと入ると、ルパンが真っ暗な中でパソコンをいじくっている最中だった。

「よ〜、来たな次元」

次元が入ってきたのに気付くと、ルパンは手は休めずに顔だけを上げた。

「目、悪くなるぞ」

次元はドアの近くのスイッチを押して部屋の電気を付けた。
一気に部屋が明るくなり、ルパンはまぶしっと顔をしかめた。

「ばーか、おめぇ誰もいない部屋に明かりがついてたら怪しさ満点だろうが」

「それもそうだ」

納得して次元は何時間ぶりかのタバコを取り出して口に咥えた。
机の上の『No Smoking』と書かれたプレートを指ではじき、タバコに火を点ける。
煙をしっかり味わって、やっと落ち着けた気がした。

「で?お宝はどこにあるって?」

「ここ♪」

ルパンがパソコンの画面を指差したので次元が覗きこむと、画面にはビルの見取り図が映し出されていた。
おそらくビルのネットワークに侵入しているのだろう。
ルパンが指差していたのは見取り図の上、ビルの一番奥だった。画面の端には20階と書かれている。

「…最上階かよ」

べたな上にめんどくせぇと次元がこぼした。いつもならヘリか気球で屋上から入るところだ。
昇るのかと不満げにルパンを見る。

「炭素探知機が反応してる場所とぴったり合ってるし間違いナシ!」

次元と対照的にルパンは上機嫌だった。そうだ、とルパンは続けた。

「間違ってもエレベーターで行くなよ次元。」

「おい。まさか階段でちんたら行けってんじゃないろうな。」

「だってエレベーターに監視カメラついてんだもんよ。」

お客がそんな最上階まで行ったら怪しまれるでショ?とルパンは悪魔の笑顔を見せた。少なくとも次元にはそう見えた。



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ