Novel
□美女と宝石と3
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次元がボーイに渡されたカギで指定された部屋へと入ると、ルパンが真っ暗な中でパソコンをいじくっている最中だった。
「よ〜、来たな次元」
次元が入ってきたのに気付くと、ルパンは手は休めずに顔だけを上げた。
「目、悪くなるぞ」
次元はドアの近くのスイッチを押して部屋の電気を付けた。
一気に部屋が明るくなり、ルパンはまぶしっと顔をしかめた。
「ばーか、おめぇ誰もいない部屋に明かりがついてたら怪しさ満点だろうが」
「それもそうだ」
納得して次元は何時間ぶりかのタバコを取り出して口に咥えた。
机の上の『No Smoking』と書かれたプレートを指ではじき、タバコに火を点ける。
煙をしっかり味わって、やっと落ち着けた気がした。
「で?お宝はどこにあるって?」
「ここ♪」
ルパンがパソコンの画面を指差したので次元が覗きこむと、画面にはビルの見取り図が映し出されていた。
おそらくビルのネットワークに侵入しているのだろう。
ルパンが指差していたのは見取り図の上、ビルの一番奥だった。画面の端には20階と書かれている。
「…最上階かよ」
べたな上にめんどくせぇと次元がこぼした。いつもならヘリか気球で屋上から入るところだ。
昇るのかと不満げにルパンを見る。
「炭素探知機が反応してる場所とぴったり合ってるし間違いナシ!」
次元と対照的にルパンは上機嫌だった。そうだ、とルパンは続けた。
「間違ってもエレベーターで行くなよ次元。」
「おい。まさか階段でちんたら行けってんじゃないろうな。」
「だってエレベーターに監視カメラついてんだもんよ。」
お客がそんな最上階まで行ったら怪しまれるでショ?とルパンは悪魔の笑顔を見せた。少なくとも次元にはそう見えた。
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