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□ある冬の日のことでした
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3周年記念作品 匿名様リク
 銀時夢




季節は冬、万事屋のリビ
ングにて四人で鍋を囲ん
だ。
久しぶりに見た彼らの肉
争奪戦は想像より激しく
、箸での取り合いから口
論になったり、なかなか
箸の進んでいなかった私
の皿に沢山盛っていった
りと賑やかに乱闘のよう
な食事を終えた。
鍋一つでここまで盛り上
がることに驚いた頭で、
次回はもっとお肉を持っ
て来ようと思った。

新八くんと二人で食事の
片付けを終えると夜も遅
いので新八くんは帰り、
神楽ちゃんもお風呂から
出てきて眠たげに押し入
れに行ってしまった。

さっきとは正反対のテレ
ビの音だけが響く静かな
リビングで寝たままの家
の主を揺さぶった。


「銀さん、もう新八くん
帰っちゃったし神楽ちゃ
んも寝ちゃいましたよ」
「…ん―、母ちゃんあと
一時間…」
「こんな餓鬼いらねェよ

「あべしっ」


叩かれた頭を摩りながら
銀さんは起き上がった。
まだ寝ぼけているのか時
計を見てまたボーッとし
ている。

「あ―、もう11時か」
「銀さん、そろそろ私帰
りますよ」
「おお、んじゃあ送るわ

「送って貰わなくても大
丈夫ですよ。外寒いし寝
起きじゃ風邪引いちゃう
んじゃ」
「銀さんは大丈夫だっつ
の」

ほれ、コート着ろ。お前
が風邪引くぞ。
言うといつもの赤いマフ
ラーを手早く巻くと玄関
の戸を開けた。
私も慌ててコートを着て
玄関に向かう。


「さ、さむっ」

反射的に出た言葉に身体
も震える。
いつもなら自然環境にす
ら文句を言う銀さんが無
言で少し気味が悪い。

(寝起きで外に出て、や
っぱり具合でも悪いんじ
ゃ)

「銀さん?やっぱり私一
人で帰りましょうか?」
「いや、そうじゃなくて



なんだか今日は歯切れの
悪い言葉が多い気がする

こんな時間になると外に
は人っ子一人居らず静か
なものだった。


「…お前、いつも行き帰
り大変だろ」
「まあ、ウチから万事屋
までだとちょっと距離あ
りますしね」
「だからなんだ、ウチは
一人増えても変わんねぇ
しな、その…」


もごもご、文字で書き起
こしたらそうなるだろう
。マフラーに口を隠して
言う続けた言葉は私には
聞き取れなかった。
突然の提案にきっと私は
間抜けな顔をしているだ
ろう。


「えっと、それはどうい
う…」
「まァなんだ、そういう
ことだ」



言った本人は自己完結し
たかのようにスタスタと
大股で歩いていってしま
った。

言われた言葉にどきどき
しながら、照れたように
先を歩く銀さんの後を追
った。



ある冬の日のことでした


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匿名様、リクエストありがとうございました!
3周年感謝。

*20101228

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