□もう一度抱きしめて
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『もう一度抱きしめて』


ゾロはよく怪我をする。だから時々マゾなのかなと思う。(言うと殴るから黙ってるけど)
チョッパーが仲間になる前は自分で手当てしていたらしく、非合法の治療の痕が生々しく残っている。


「おぃ、嫌なら見るな」
「視界に入ってくるのよ」
「だったら此処に居なきゃいいだろーが」


ため息をついてゾロは素振りを再開した。
明らかに“t”はあるだろうその重りが振り降ろされる度に、ギシギシと甲板が悲鳴を上げる。


アンタと一緒に居たいから此処に来たんじゃない


「馬鹿…」


私の一言は、一際強く打った波音にかき消された。



日課のトレーニングを終えた後はいつも仮眠を取るゾロ。だから私はいつも膝枕をしてあげて。


「仮眠ってレベルじゃないよ コレ」


熟睡しきってるゾロを眺めてこっそり呟く。それでも無防備な寝顔を見ているのが好きだ。
ゾロの胸には一番大きな傷跡がある。ふと、服の上からそこに触れた。
こういう時はいつも不安になる。その後彼が生きてて良かったと思うんだ。


「!」


腰にゾロの両腕が回された。寝ぼけてなのか、それとも…。
けれどなんとなく ゾロが“心配するな”と言っているような気がして。


「ゾロ」


怪我しないでなんて言わない。だけどねやっぱり不安になるから。
だからその時には
もう一度抱きしめて?

こんなふうに抱きしめてね?

〜終。
2005/06/04

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