はなし
□優しい歌(完)
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優しい歌
第一章
まただ。
また聞こえる。
あの・・・歌が。
痛い。
そう思う感情が俺にもまだ残っていたのかっと、心の中で少し確認する。
たった今、俺は彼女に振られた。
振られた時の彼女の言葉は、
「もう・・・分からないの、あなたの考えてる事が。いつも無表情で、無感情な気がして・・・たまには・・・たまには、あなたの方から何かしてよ。私が惨めよ・・・。もうあなたと居るのは疲れたの。別れましょ…。」
と、デートの最中に言われたものだった。
俺は軽く手を挙げて、彼女に向けて振った。
バイバイ、って。
そういう反応しか俺には出来なかった。