Novel
□〜ホタテ誘拐編〜
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ホ社 「犯人はどこのどいつじゃあ〜!!」
ジオニーの胸ぐらをつかみたずねると、ジオニーは、アッサリと
ジ 「ホリ代も知ってる人〜♪」
…と、答えた。
ホ社 「えッッ!?知ってる人!?誰?」
ホリ代は、嫌な予感を感じた。
ニッコリとジオニーが放った言葉は…
ジ 「最初に“ゲ”がついて、次に“ジ”がつく人〜V」
それを聞いた瞬間、ホリ代の脳内には1人の人物が浮かびあがった。
ホ社 (ゲジか!!!)
ホリ代の目は怒りにメラメラ燃ていた。
…もちろん、相手は『ゲヘッッ』と気味悪く笑うライバル会社、メスゲジカンパニーの社長、ゲジだ。
―その頃―
ホ 「はぁ〜。眠いなぁ〜ι真っ暗だし、ココはどこなんだろ??でも、ホタテは美味しかったな♪」
真っ暗な部屋の中で、ホタテは呟いた。
どうやら、ホタテにつられてやってきて、そのまま寝てしまっていたようだ。
パタン…
真っ暗な部屋に扉が開き、閉まる音が聞こえた。
ホ (だ…誰か来た!?
まっ…まさか…!?)
ホタテの目の前でユラッと影が揺れた。
ホ (だれ…?)
ホタテがおびえ、ギュッと手を握りしめた瞬間、その場に似合わない声がした。
? 「あっ!!起きた?」
ホ 「誰?」
ホタテがたずねると、パチッッと音がして部屋が明るくなった。
ホタテの目の前に立っていたのは…
ホ 「あっ!!ちょっと前に『こんだけ―』で売れたAKKOだー」
ホタテの言葉は棒読みである。
一方、AKKOは
「あー様とお呼びッッ」
と何故かふんぞりかえっている。
知ってるとは言え、ホタテは誘拐された身。おびえた様子で縮こまっていると、
A 「あっ、ねぇちょっと…ビビらないでよι」
ちょっとオドオドしだした犯人…AKKO。
A 「あんたには悪いけど、ゲジ様の命令だからね、おとなしくしててよ?」
ホ 「はぁ…」
(ゲジ様ってなんだよ…ι)
なんとも弱腰なAKKOにホタテも恐怖心はなくなったようだ。
そしてAKKOは、“ゲジ様”がどんなに素晴らしいかを聞いてもいないのに、語りだした。
A 「あたしが売れなくなったとき、拾ってくれたのはゲジ様なんだよ。」
遠くを見つめAKKOは1人、思い出に浸っている。
―三年前―
カンカンカンカン
カンカンカンカン
雨の日の踏み切りのそばで、俺は傘もささずに座りこんでいた。
そこへ…
? 「ちょっと!!そこの君!!」
声をかけてくれたのがゲジ様だった。
ゲ 「家出息子、発見!!」
何故か嬉しそうに、ニコッッと笑う様子に、当時荒れていた俺はギロっと睨み八つ当たりしてしまった。
「うっぜ…オカマの時代は終わったんだよ…」
突き放したように、話したのに、呆れもせずにゲジ様はまた声をかけてくださったんだ…。
ゲ 「何言ってんの。これからだよ、おネェ達のウェーブが来るのは。」
相変わらず、ニコニコとゲジ様は笑顔だったんだ。
「るっせ―!!事務所の命令で『こんだけ―』とかやってウケても、結局一時的にしか見てもらえね―!!
他に芸もないオレは…」
ヤケクソになっている俺にそっと傘をさしだし、ゲジ様は優しく言ったんだ…。
ゲ 「でも…女装、楽しかったでしょ?」
俺は女装を好きでやっていたので返答に戸惑った。
「それは…」
ゲ 「じゃあ、もう一度ウチで女装したら?ウチで泊まってかまわないから♪」
「えッッ!?」
俺は驚いた。
ゲ 「一度売れなかったくらいで何だよ。もう一度売れてやろうって根性を視聴者・共演者に自分を見せつけてみなさいよ。そうしたら皆だって認めてくれる。君はここで終わる奴じゃないだろ?」
そして、俺は決めたんだ。
「………もう一度だけ…やってみようかな…?」
その後、俺はゲジ様の家に行った。
そこで、俺は悩んでいた。
ゲジ様に「服はイッパイあるから、着替えてみなさい。」
と言われたけど何を着ようかと…。
「ロリ?やっぱロリロリ?
いや、ココは流行りにのっとってネクタイ系ゴスか?!」
そして服を合わせ、鏡の前で一人ファッションショーをしていた俺の前に…今後の人生を変えるようなものをみつけたんだ。
「つ…つ…つけしたマツゲ―」
そう、『つけしたマツゲ』に憧れていた当時の俺の感動はすごかった。
(こんだけ〜で売れてた時でもつけるのを許されなかった、つけしたマツゲがこんなところに〜)
そして、俺は決心した。
「この機会を逃しちゃイケねぇ!!!俺はこのつけしたマツゲをつけて、ビッグになってみせるんだ―!!
じっちゃんの名にかけて!!!」
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