甘い水
□拍手達
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天使の後は…
俺は白い小さな悪魔の僕。
天空の裾に光が染み拡がり始める頃、それまで静寂を保っていたクロス城に、けたたましい雄叫びが響き渡った。
最上階、軍主キラの部屋。
そこには何故かびしょ濡れのキラと、入り口からこっそり中を窺うユキとシーナの姿があった。
キラは突如天井から降り注いだ大量の水に問答無用で叩き起こされ、覚醒しきれていない事に乗じ、突然の事に頭は混乱し現状を把握できずに辺りを見回すばかり。
そしてそれを扉の隙間からこっそりと覗き込んでいるユキとシーナの二人の唇の端は吊り上がっていた。
「くく…やったな。成功だ」
「ふふ…。お疲れ様」
中のキラに気配を悟られずに、ゆっくりとしかし確実に離れながら互いに成功を讃え合う。
「やっぱ、シーナって最高だね!!」
数歩先を歩くユキがくるり、と後ろを振り向き先程の成功に花が綻ぶような笑顔を持って喜ぶ。
しかし、誰もが見惚れるようなその笑顔はきっかり5秒後に、妖しく艶やかなモノに変わる。
「また、ヨロシク……ね?」
瞳をうっすらと細めながら計画者を見上げるユキのその背後からは、先端が三角くに尖った尻尾が揺れていそうだ。
「仰せのままに……?」
妖しい気に誘われるまま、シーナはユキの白い手を取り紳士がするように、そっと唇を落とした。
俺は白い小さな悪魔の僕。
イケナイ囁きに手を伸ばす。