庭球:CP


□せめて隣にいさせて
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翌日、深司から電話がかかってきた。
ぼやき電話は頻繁にかかってくるけど、こんなに用件のはっきりした電話は一ヶ月ほど前にした部活の連絡網以
来だ。
用件は簡単で、俺にとってはかなりつらいものだった。
「買い物付き合ってよ。ミカのクリスマスプレゼント。」
あえて訊かなかったけど、ミカというのが深司の彼女だろう。
今まで断ってはいたけど、深司はあの綺麗な顔とテニスが上手いということもあって、かなりモテる。
きっと、『ミカ』も可愛いんだろうな。
誰もが認めてしまえるほどには、お似合いで。
他のヤツらにうらやまれるようなカップルになるんだろう。

そんな買い物に付き合うのは酷く虚しかったけど、俺は黙って深司についていった。
深司が彼女と会うその日に、俺が先に会える。
…なんて痛くて虚しい、俺のエゴ。
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