第3部

□第1話
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キラ 「…カガリ」

優しく呼びかけてもカガリに僕の声は届かない。

カガ 「ぅっ…ァ…スラン…」

カガリの涙は止まらない。

僕にはアスランのやろうとしている事の意味がわからない。

だってアスランはカガリを愛してた。

なのにやっぱり復讐したいなんて…。

なぜ??

なぜ今になってカガリを置いて行くの??

ねぇ…アスラン…



なんで??




キラ 「…風邪ひくから…戻ろう…」

カガリは首を横にふりしゃがみこみ、動こうとしない。

キラ 「…カガリ。…なら、追いかける??」

何を言っても頷かないカガリの肩をそっと包むと

カガ 「…きないんだ…」

酷く小さな、かすれた声で何かを言うが聞き取れず

キラ 「ぇ??」

僕が聞き返すと涙に濡れた琥珀を拭い

カガ 「今朝っ…ルージュが…ルージュに…赤ちゃんがいるって…」

キラ 「赤ちゃん??」

カガ 「…ジャスティスとの…っだか…ら…」

そこまで言うとまた琥珀の瞳から涙が溢れ

キラ 「だから走って追いかけてきたんだね。」

その華奢な身体を優しく抱きしめると

カガ 「…っ…」

カガリは僕に縋りつくように声を殺して泣いた。

キラ 「とにかく…」

いたたまれなくなった僕はカガリを抱き上げるとストライクに乗せ家に戻った。

カガ「…っっ」

家につくまでストライクの上でカガリは僕の首に手を回し泣きじゃくっていた。

そんなカガリを優しく抱きしめ、輝く金髪をそっと撫でながら僕は彼女の耳元で囁き続けた。

キラ 「…僕が…僕がいるから…」

返事の変わりにカガリは僕の首に回した腕に力を込めてしっかりと抱きついてきた。

キラ(カガリは僕が支える。)

泣きじゃくるカガリの頬につたった涙を自らの舌で優しく舐めとり抱きしめる腕に力を加えた。

キラ(僕の…カガリ…)


もう僕に迷いはなかった…



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