小説【短編】
□反抗期(ネタが思い付き次第更新します。)
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ー紅 邵可邸ー
「黎深、ここは駆け込み寺ではないのだけれどね…。」
苦笑いしながら、先程から泣きベソをかきつつ床に“の”の字を書き続ける弟ー紅 黎深ーに兄“邵可”はお茶を煎れてやる。
邵可が席につきお茶を啜るものの、一向にこちらに来ない弟に兄は冷たく言い放つ。
「黎深、お茶飲まないのかい?飲まないのなら…」
弟の為に煎れたお茶の入った湯呑みを取り、流しに流そうとする。そんな兄の手から必死の形相で湯呑みを奪い取り、ようやく黎深は席につきお茶を啜る。大好きな兄が自分の為に煎れてくれたお茶を飲み、先程の表情が嘘のようなほど幸せそうな表情になる弟を見つめ優しく微笑む兄。
黎深が邵可邸に訪れる原因となったものは、愛する息子が大好きなクマの縫いぐるみを前にしてもなお黎深に話しかけてはくれなかったことと、もう一つあるのだが…。
まぁ、それは本人に話して貰いましょう。