小説【短編】
□我慢できない!?
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「…主上?何故、貴方がここに?」
「あにう…いや、静蘭か、久しいな。」
室内から主上の声が聞こえる。相変わらず静蘭の殺気は消えないままだ。静蘭の殺気に気付いたのか主上の弁解の声が聞こえてくる。
「よ、余は何も疚しいことはしてないぞ!」
明らかに慌てている声音に絳攸は呆れながらも静蘭を見やる。もしかしたら静蘭は主上の言葉を信じるかもしれない、そうなれば主上は殺されずに済むのだから。
「…っ…、駄目か。」
絳攸が一人落ち込んでいると秀麗の声が響いた。
「静蘭、あのね…」
しかし、秀麗の言葉を遮るように雷が再び鳴り雨が降り出した。秀麗は悲鳴をあげ、静蘭は室内に入ろうとするが、秀麗は室内に入るのは嫌だと泣き叫んだ。このま外にいては雷の音が諸に聞こえてしまう、しかし秀麗は室内に入るのを拒む。次第に静蘭も困惑しだしていた。
「お嬢様、室内の方が…」
秀麗は恐怖のあまり口がきけないのか、首を横にふる。
「お嬢様…。」
明らかにいつもと違う秀麗に静蘭は、何も出来ずただ秀麗を抱き締めていた。