小説【結末選択】

□赤子の名前は…
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「いやだ、認めん。」

紫色の衣を羽織った男はまるで子供のように駄々をこねる。

「なんでよ?私の“秀”と貴方の“輝”で“秀輝(しゅうき)”良いじゃない。」

髪に紅い宝石のついた簪をつけた女性は呆れたように溜め息を吐く。男は「嫌だ嫌だ」と本当の子供のように駄々をこねる。女性は渋々といったように「じゃぁ、何が良いのよ?」と漏らす。それを聞くと男は嬉しそうに笑うが、言葉に詰まっていた。女性はあからさまに溜め息を吐くと、腕の中の赤子に話し掛ける。

「困った、パパですねー。」

女性の腕の中で赤子は嬉しそうに笑っていた。男は笑顔の赤子を認めると、女性の肩を自身に寄せた。女性は自身より背の高い男を見上げ、微笑んだ。そんな2人の唇が触れ合いそう程近付く。しかし、次の瞬間扉が開き何人もの男女がその室に雪崩れ込んできた。触れ合いそうな程近付いていた2人の唇はすぐさま離され、2人は顔を朱に染めていた。

「な…なんなのだ、そなた達は。」

男は慌てて王たる威厳を振りかざす。
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