小説【短編】
□我慢できない!?
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絳攸が紅家にようやく辿り着くと中から話し声が聞こえた。
「しゅーれー、余はもう我慢出来ないのだ。食べたいのだぁー。」
(食べる…?)
「少し待ちなさいよね、全くいきなり来る貴方が悪いのよ。」
(いきなり来た=夜這いかっ?!)
「仕方ないのだ、余はこれでも忙しいのだ。」
(ああああああ…秀麗が主上に食べられる=襲われる?)
紅家の扉の前で絳攸がアタフタしていると、運良くか運悪くか静蘭が帰ってきた。
「…絳攸様、どうなさったのですか?」
見るからに不審人物である絳攸を横目に静蘭は扉を邸に入ろうと、取っ手に手をかける。
(!?)
今の状態を静蘭が見たら、主上は殺されてしまうと焦った絳攸はとっさに静蘭の腕を掴む。
「絳攸様?」
「せ、せせせせ静蘭。」
明らかに動揺している絳攸を静蘭は訝しく思い、瞬時に黒いオーラと笑顔を絳攸にお見舞いする。
「絳攸様、一体この先に何があるのですか?」
静蘭は質問口調であったが、明らかに「言え!」とオーラが言っている。