World Insanity

□四章
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「…嘘だろう?」

摩緒は呆然としている。
その原因は前方の光景にあった。摩緒は魂探索のために、生徒達の教室を見てまわろうと廊下を巡回していた。
敵なんて居ないと思っていた前方の廊下に一般生徒が立ちはだかっていたのだ。

「お前達、どうしたんだ?」

摩緒が聞いても誰一人答えようとはせずただ立ち尽くしている。

「セ…………除…」

一般生徒の一人が小さく呟いた。

「…どうした?」

摩緒は警戒しながら距離を縮める。

「セリティードを排除する!!!」

一人がそう叫ぶと、一般生徒が一斉に摩緒に襲い掛かった。

「なっ!チッ…咲き誇れ黒薔薇!!」

摩緒は軽く舌打ちをしてから素早く言葉を唱えた。摩緒の髪が伸び、戦うための服装に変わる。
そして素早く数本のナイフを投げた。

「あっ!」

「くっ!」

いくつもの悲鳴があがる。
摩緒のナイフは一つも外すことなく一般生徒達の足や手に当たった。

「殺すわけにはいかない。すまないな」

摩緒は自ら開いた道を走り抜けていった。
きっとまた追ってくるだろう。
摩緒はそれまでに一つでも魂を見つけたい思いでいっぱいだった。


「退け退け退けええぇ!!」

寮内を調べていた晃は変身もせず一般生徒の大群に体当たりしていた。
武器らしき物が見えなかったから大丈夫だと判断したのだろう。
体当たりしてきた晃を見ると生徒達は一斉に何かを投げた。

「え?ちょ!ヤベッ!」

その何かは大量のカッターだった。
避けようにも突進の勢いで思うように動けない。
晃は体にたくさんの刃が刺さるのを感じた。
痛みと共に血が染みだす。

「いてぇ…投げたせいで深く刺さったし」

幸い致命傷にはならなかった。しかし、痛みは絶え間なく晃の体を蝕んでいた。
生徒達は無表情なまま晃を見つめる。まるで人形だ。
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