小説
□ハッカキャンディー
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さわやかな香りの小さな半透明の珠
口に含むとすっと冷たく
そして
―ほのかに甘い
ハッカキャンディ
「ふぅ。」
溜息とともにもたれかかった背もたれから『ぎし』と小さな音が静かな部屋に響く。
数日前から取り掛かっていたレポートがようやく一段落つき、顔をあげるといつの間にか時が過ぎていたようだ。
「・・・また徹夜か。」
窓に近づき外を眺めると、まだ陽が昇る前のようで空にはグラデーションがかかっていた。
机の上の電気を消し、寝具に倒れこむ。
ここ最近、根詰めて研究やレポートをやっていたため、徹夜が続いていた。
体力的にも精神的にも疲れていて、ベッドにでも飛び込めば、しばらくは目覚めないのではないだろうかと思うほどの疲労感に襲われていた。
だけれど。
どれだけ目を瞑っても意識が薄れることはなかった。。
今すぐにでも、夢の国へ飛べるのではないかと思うほど眠いのに。
何度か寝返りを繰り返したあと、眠るのを諦め、起き上がる。
「…散歩でもするか。」
まだ眠っているであろう祖父やケンジを起こさないよう注意しながら、静かに家をでた。
*