【短】物語

□君と僕の探し物
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「おい、隆志よぉ。今日の合コンのメンバー、かなり期待できるってホントか?おめー先月もそんなこと言って結局ハズレだったじゃん。ある意味あれは大冒険だったよなぁ。あのてっちゃんや翔でさえ顔が引きっつってたし」


うんうん。さすがの僕もあれにはビビった。。。まさにあれは怪人だ。いや、もはや人間なのかも疑わしい。恐ろしい娘達だった。。。何もかもを噛み砕かんとするしゃくれた強靭なアゴ。目を合わすだけで死を連想させられる邪悪な瞳。この世のすべてをバラバラに切り刻む事が目的だとしか思えないあの鋭く伸びた爪。あの恐ろしさを口頭で伝えようとしても。。。無理だろうなぁ。。。あぁ。。。思い出したら鳥肌がぁ。。。思考切り替え、切り替え。。。


「だってよ、、、香奈枝ちゃんチョイスに間違いないと思ってなかったんだよ。」


と、隆志。


「その香奈枝ちゃん?絶対観る目ないって!これ確実!コナン君に頼む事無く真実すべてマルわかりだよ!もう宇宙史上最大最高に俺らとは感性が異なり異なれ異なかり!かりかりっ!」



《イエス。高洲クリニック!》


 これはもう同感。今確かにみんなの心が1つになった。シンクロ率100%強だ。しかしその香奈枝ちゃんはどうやら人として大切な何かを失ってしまっているようだ。ご愁傷様。君と僕とはこれからも会うことはないだろうからさ、君の事は忘れることにするよ。。。削除。削除。さようなら。


「おい新吾」


「なんだい?Diar friend」


「かりかりとは少々破廉恥ではないかね?そう思はないか?そう思うだろう?」


「どんまい。Diar friend」


「ふむ。少々目測を誤ったか。。。このネタは世間様にはお見せするのは難儀らしいな。」


 ネタだったのか。。。まぁ、ネタ(?)の善し悪しはともかく、相変わらずてっちゃんと新吾の息はピッタリだ。君たちのその阿吽の呼吸は僕も高く評価している。これからも精進したまえよ。


「う〜ん。もうそろそろ来てもいい頃なんだけどなぁ。。。美佳ちゃんけっこう時間にはルーズだから集合時間わざと早めて伝えたのに。。。」


 今回の向こうの幹事は美香ちゃんという娘らしい。いったいどれだけ女の子の知り合いがいるんだか隆志は。。。まぁその顔の広さはちょっと尊敬に値するケドね。。。
 ちなみに僕のケータイのメモリは驚くほど少ない。家族を含めても20人くらいだと思う。他人と頻繁に連絡を取るわけでもないし、必要最低限で十分。それが僕の考え方だし、他人とむやみやたらに接触するのは好きじゃない。
 あ、でもこいつらは別なんだ。古い付き合いだし。ちとハズいがダチってやつだからな。こいつらがいなかったら僕なんてヒッキー君になってただろう。。。そういう意味ではこいつらには感謝してるかな。


「んん?あのタクシーは。。。あ、あれだあれだ。ちょと呼んでくるで待っててや」


 そう言うと隆志はタクシーの方へ駆けていく。


「いよいよ戦が始まるのだな。。。準備はいいか?新吾。翔。戦場ではたった1回の油断が命取りに・・・」


「はいはい。さぁ、油断せずにいこー(棒読み)」


 新吾はてっちゃんのネタを軽々と遮ぎったと思いきやタクシーから出て来た女の子達に視線を移している。あいかわらずいいコンビだ。。。


 さて、戦いの幕開けだ。


 今日も無難な位置を取り、無難に攻めて、無難に終われますように。。。


 しかしこの祈りは届くこともなく。。。後に起こるのは波乱ばかりだと、今の僕は知る由もなかった。。。
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